2018年9月15日におおた在宅クリニックが主催したセミナー「認知症の人を地域でどのように看て行くか 〜認知症との向き“愛”方〜」の内容報告です。多数のご参加ありがとうございました。
愛が大事。どんな愛をお返しできるか。
共有すべきこと=生きづらさをかかえた人の支援、生活支援連携という考え方
1.認知症治療は誰のための、何のための治療か?
認知症楽にはアリセプト、レミニール、リバスタッチ、メマリー等あるが治療薬ではない。これらは進行を遅らせる薬である。
進行を遅らせることは重要であるが、ただ薬を処方するだけではダメで説明が必要。進行を遅らせる意義~早期発見、治療により得られる時間の意義~
本人にとっては、人生の総まとめの時期であって、自分らしく人生を全うするための不可欠な時間。家族にとっては、「そのひととなり」を深く知り、その人らしい看取りのための準備期間。
認知症薬の効果を最大限引き出すためには「告知」そして「覚悟」が不可欠。自分のふとんで寝ながら死ねるのは幸せと思う。医療者・施設職にも看取りの覚悟が必要
「初めて会ってご挨拶をした時に、自分が看取る覚悟をする」
2.認知症緩和ケアという考え方
在宅医療× がん ×認知症
がんは2人に一人、認知症は3人に一人発症する。誰もがなる病気である。
認知症 ×看取り
緩和ケアは苦しみを予防し和らげてQOLを改善する。認知症にも緩和ケアアプローチが必要。
緩和ケアアプローチのポイント
- 初期から終末期まで絶え間なく
家族のケアも含めた包括的にマネジメントを行う
- 苦痛の緩和を第一に
生活の質(QOL)を重視する
- 終末期まで自己決定を尊重
生活障がいは初期から始まり複雑化する!!
初期の 「空白期間」をどう支えるかが問題。認知症診断されてすぐの治療が大切。本人家族への丁寧な説明が大切。 - 本人への説明
・加齢に伴い、もの忘れが始まっています。皆さんそうです
・安心して生活してください!これまでの経験・ 記憶は活かせます
・良い薬があります。
- 家族への説明
・介護にはゴールがあります。「看取り」という人生のゴールがあります。
・ゴールに向って本人らしく生きられるように、一緒に取り組んでゆきましょう。
・無理して途中で息切れしないように。続けることを第一に考え取り組みましょう。家族にしか出来ないことは「葬式」だけです。それ以外の人に頼めることは頼めば良い
・困る時期がありますが乗り越える方法があります。
・その時々で、出来ることを一緒に考えて行きましょう。
・お薬で認知症の進行を遅らせることができます。
認知症の受容までのステップ
- 第1ステップ:戸惑い、 否定
- 第2ステップ:混乱、怒り、拒絶
- 第3ステップ:あきらめ、 割切り
- 第4ステップ:受容
重度認知症デイケアを上手く利用するのがポイント
- 医療保険の適応施設
・介護認定なくても利用可
・介護保険との併用可
・医療行為ができる - 日曜日も利用可
認知症の症状 中核症状と周辺症状(BPSD)
BPSD は人によって異なる。不安がBPSDを増悪させる一番の要因
認知症の初期は 「不安」だらけ
↓
ごまかし・取り繕う毎日
↓
ストレスがたまり、あるとき反撃に出る
大切なことは「安心」を支えてあげること
認知症になってもできることがある。人に必要とされること。人の役に立てていると思えることが生き甲斐として大切!
支えることは一方向ではない。支え支えられる関係。
「子供叱るな来た道だもの、年寄り笑うな行く道だもの」
3.生きづらさをかかえた人の支援
認知症になっても ひとりの人として今を生きている。認知症の「人」である
「生活支援連携」
認知症という障がいのため、生活のしづらさ(生活障がい)がある。
↓
暮らしたい場所で暮らせるように、暮らしづらさを支えてゆくことが大切
↓
暮らしたい場所から離すような対応は根本的な解決ではない
多職種協働での生活支援連携の要点
- チームリーダーは ケアマネ
- 多職種連携 を上手く進めるコツは
・ それぞれの専門性と協働。専門家の自己研鑽が必要。職種間は対等。主治医との関係性が問題
・ その人の一番の専門家である「家族」を忘れない!
・ 近隣の理解・支援を得る
・ チームでゴールを共有する